おしょうさんのまあるい話

お盆―過去、現在、未来への絆を確かめる行事―

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今年も日に日に暑さが厳しさを増し、お盆の時期がやってきました。

お盆には、ご先祖さまが、密厳浄土へ向かう修行の手を休めて、思い出多いそれぞれの家に帰ってきます。

 

お盆の由来は、『仏説盂蘭盆経(ぶっせつうらぼんきょう)』というお経に、お釈迦さまと弟子の目連尊者(もくれんそんじゃ)のお話として説かれています。

お釈迦さまの10大弟子の一人である目連尊者は、全てのものを見通すことのできる”天眼通(てんげんつう)”という不思議な眼力を持っていました。

ある日、目連尊者は、亡くなったお母さんがどうしているだろうか、と思い、天眼通を使って捜してみました。すると、あんなに優しかったお母さんは、飢えと渇きに苦しむ餓鬼道(がきどう)に堕ちて、飢えに苦しんでいたのです。

目連尊者はすぐに、ごはんと水を届けましたが、お母さんが食べようとすると、ごはんも水もたちまち火となって燃え上がり、食べることができません。目連尊者は困り果て、お釈迦さまにこのことを伝え、お母さんを救う方法を尋ねました。

すると、お釈迦さまは「あなたの母は、自分の子供に執着するあまり、他者への施しを怠った。その報いにより、餓鬼道に堕ちてしまった。もうすぐ、夏の修行を終えてお坊さんがここに集まってくるので、ごちそうを差し上げて施しをしなさい。そうすれば、お母さんだけでなく、7代前までの先祖も救うことができるだろう」と、多くの僧侶へ施しをすることを勧めました。

目連尊者がその教えに従い、施しをすると、お母さんはもとより、7代前にさかのぼってご先祖さまを餓鬼道から救うことができました。この説話が、お盆の由来となっています。盂蘭盆会(うらぼんえ)が中国を経て、日本に伝わり、今から1,300年ほど前の推古天皇の時代に始められたと伝えられています。

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お盆には、故郷を遠く離れて生活している親類縁者や、古くからの友人たちと、思い出を語り合ったり、この一年間の出来事を報告したりする一方で、子供たちもまたお盆の準備を手伝ったり、日頃接することの少ない人々と関わったりしていく中で、地域の文化や社会生活を送るための方法を知らず知らずのうちに、体験的に身に着けていくことができるのです。

お盆には、ぜひ過去、現在、そして未来へとつながる絆を確認し、ご先祖さまや親類縁者、友人の皆さまと心ゆくまで語り合っていただきたいと思います。